投資で資産を増やそうとしても、思うように増えないことがあります。その原因の一つに「損したくない」という心理があります。人は利益より損失の痛みを強く感じるため、含み損を抱えたまま売れずに損失を拡大したり、安全だと思い込んだ資産に偏りすぎて投資機会を逃したりすることがあります。
このような心理的な罠は、知らず知らずのうちに資産形成の足かせになります。
本記事では、損失回避の心理がどのように資産を減らすのか、そしてその対策について解説します。
損失回避の心理とは
投資において、人は利益よりも損失の痛みを強く感じる傾向があります。これは心理学で「プロスペクト理論」と呼ばれる現象で、同じ金額の利益と損失でも、損失の方が感情的な影響が大きくなります。そのため、少しの含み損でも売ることをためらい、損失がさらに大きくなるまで保有してしまうことがあります。
また、損を避けようとするあまり、リスクを過剰に避けるケースもあります。例えば、現金など安全だと思われる資産に偏った結果、インフレや機会損失によって実質資産が減ることがあります。このように、損失回避の心理は一時的な安心をもたらしますが、長期的には資産形成の妨げになる場合があります。
資産が減る具体例
損失を避けようとするあまり、資産が思わぬ形で減るケースがあります。例えば、リスクを恐れて現金や預金ばかりに資産を置いている場合、インフレによって実質的な資産価値が目減りしてしまいます。金利が低い現状では、銀行預金だけでは資産を守ることは難しいのです。
また、投資の機会を逃すことも問題です。長期的に見れば、株式やETFに分散投資することで資産は着実に増える可能性があります。しかし、含み損や価格変動を恐れて売買を控えたり積立を中断したりすると、複利効果を最大限に活かせず、結果として資産が増えにくくなります。このように、損を恐れる心理は短期的には安心をもたらしますが、長期的には資産形成の妨げになります。
心理的な罠から抜け出す方法
余裕資金で投資する
損失回避の心理に引きずられず資産を増やすためには、いくつかの対策があります。まず、投資は余裕資金で行うことが最も大切です。生活費や急な出費に影響しない範囲で投資を行えば、損失への恐怖が過剰にならず、冷静に判断できます。
リターンにはリスクが付き物
損失を受け入れる心構えを持つことも重要です。投資では一時的な損失は避けられず、長期的な損益の合計で判断することが大切です。分散投資によってリスクをコントロールしたり、自動積立やETFへの定期投資を活用したりすることで、感情に左右されず計画的に資産形成を進められます。これにより、損を恐れるあまりチャンスを逃す状況を避けることができます。
機械的な投資ルールをつくる
投資を続けるために、機械的な投資ルールをつくって感情の入る余地を無くしてしまうのが有効です。
例えば、私の場合ですと、保有する資産の割合を決めておき、そのバランスが崩れた時に保有資産を売買して資産の割合を元に戻す、というルールを定めています。(いわゆるリバランス)
まとめ
投資において「損したくない」という心理は、短期的には安心をもたらしますが、長期的には資産形成の妨げになることがあります。含み損を抱えたまま売れなかったり、リスクを過剰に避けて投資機会を逃したりすることは、資産は思うように増えません。
リスクを取らなければリターンはあり得ません。この心理的な罠を避けるためには、まず余裕資金で投資を行うことが前提です。さらに、損失を受け入れる心構えを持ち、分散投資や自動積立を活用して計画的に資産形成を進めることが重要です。冷静な判断と適切な資金管理を組み合わせることで、損を恐れる心理に左右されず、着実に資産を増やすことができます。




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