こんにちは!むーです。
私が個別株投資で重視しているのは、「長期で安心して保有できる」ことと「安定的に配当が増える」銘柄です。個別株分析シリーズでは、私が保有する個別株の分析と、保有する理由を解説していきます。
ユニ・チャーム(8113)は、紙おむつや生理用品、介護用製品など生活必需品市場で高いシェアを誇る企業です。海外事業の拡大にも積極的で、成長性と安定性を兼ね備えた銘柄として注目できます。本記事では、ユニ・チャームの株価指標や財務データをもとに、長期投資家として押さえておきたいポイントやリスク・注意点までを解説します。
ユニ・チャームの基本情報
ユニ・チャームは「ムーニー」「ソフィ」「ライフリー」などで知られる紙おむつ・生理用品・介護用品を中心に展開する、日本を代表する生活必需品メーカーです。
特にアジア市場で存在感が強く、インド・中国・インドネシアなど人口成長が続く地域でシェアを拡大しています。国内市場は少子高齢化による需要減が懸念される一方、介護用品分野で安定的な成長を確保しています。
競合には花王、P&G、キンバリー・クラークなどがありますが、アジア市場におけるブランド力と販売網の広さがユニ・チャームの強みです。
ユニ・チャーム(8113)の投資指標レビュー(2025年9月時点)
データはIR BANKから引用しています。
PER・PBR

ユニ・チャームのPERは、2015〜2020年にかけて30〜55倍と高水準で推移し、株価が利益に対して割高に評価されてきました。2024年は28.08倍まで低下しており、依然として日本株平均よりは高いですが、過去水準と比較すれば割安感が出てきています。
PBRも同様に、2020年の5.95倍をピークに2024年には2.97倍まで低下。高成長企業としてのプレミアム評価はやや剥落したものの、ブランド力と安定した収益構造を考えれば妥当なレンジといえます。
自己資本比率

ユニ・チャームの自己資本比率は、過去10年を通じて50〜62%と一貫して高水準です。2024年は62.3%とさらに改善しており、極めて健全な財務体質を維持しています。製造業でこの水準は優良といえ、財務安定性と配当の持続力を裏付ける指標です。
有利子負債比率

有利子負債比率は2010年代初期には20%超の年もありましたが、近年は大幅に低下しています。2024年には3.47%と、ほぼ無借金経営に近い状態です。借入依存度が低く、利払い負担も極小であるため、景気変動や金利上昇のリスクに強い点が安心材料です。
配当性向

配当性向は2010年代は20%前後で推移しており、株主還元は控えめでした。近年は30%前後まで上昇しており、2024年は31.6%。まだまだ無理のない範囲であり、増配余力は十分残されています。利益の成長に応じて、今後も安定的な増配が続く可能性が高いと評価できます。
フリーキャッシュフロー(FCF)

ユニ・チャームのFCFは、過去10年以上にわたって大きく変動しているのが特徴です。これは、設備投資や海外事業展開、研究開発費の増減などによる影響が大きく、年間ごとのキャッシュ創出能力が安定していないことを示しています。
キャッシュ創出は十分で、配当や増配を支える余力はあります。しかし、年間の変動幅が大きいため、「毎年安定的な配当」を重視する投資家にとっては注意が必要です。長期的には平均的にプラスのFCFが確保されており、配当余力の観点では安心材料といえますが、急激な設備投資や海外事業拡大時には一時的な圧迫リスクが存在します。
増配率

直近10年の配当実績から増配率を計算してグラフにしました。
年度 | 配当実績 | 増配率 |
---|---|---|
2015 | 4.93 | 16.3% |
2016 | 5.33 | 8.1% |
2017 | 6.67 | 25.1% |
2018 | 8.00 | 19.9% |
2019 | 9.33 | 16.6% |
2020 | 10.67 | 14.4% |
2021 | 12.00 | 12.5% |
2022 | 12.67 | 5.6% |
2023 | 13.33 | 5.2% |
2024 | 14.67 | 10.1% |
ユニ・チャームは過去24年間、毎年増配を続けており、長期的に株主還元を重視する姿勢が明確です。年度ごとの増配率を見ると、2015年には16.3%と大きく伸びた年もありましたが、その後は8〜25%程度の範囲で上下しつつも、近年は5〜10%前後で着実に積み上げるスタイルに落ち着いています。
このように、増配率は年度によって変動がありますが、極端な減配はなく、安定的に配当を増やしていく傾向が確認できます。大幅な増配年もあれば緩やかな増配年もあるため、株価変動に左右されにくく、長期投資家にとって将来のインカムゲインを予測しやすい銘柄と言えます。
配当利回り

ユニ・チャームの配当利回りは、直近10年間で概ね0.6%〜1.1%の範囲で推移しています。日本株全体の平均配当利回りが約2%前後であることを考えると、利回りは控えめで、高配当株と比べるとやや低めです。
ただし、利回り自体は低くても、連続増配を続けている点や、フリーキャッシュフローがプラスである年度が多く、配当を支えるキャッシュの余力がある点を考慮すると、減配リスクは相対的に低いと言えます。長期投資家にとっては、利回りの高さよりも「安定的に配当を増やす姿勢」と「財務余力の安定性」が魅力となる銘柄です。
総合評価
ユニ・チャームを保有する理由
私がユニ・チャームを保有している理由は、安定した事業基盤を持つ成熟企業でありながら、増配余地を活かした将来の株主還元にも期待できる点です。
国内市場の安定性
ユニ・チャームの主力事業は、ベビー用紙おむつや衛生用品、介護用品など生活必需品です。景気の変動に左右されにくく、売上や利益の急激な変動は比較的少ないのが特徴です。加えて、自己資本比率は50%を超え、有利子負債も少ないため、財務的にも安定しており、株価が下落する局面でも安心して保有できます。
増配実績と将来の期待
ユニ・チャームは24年連続増配株であり、増配率も過去10年で安定しています。配当性向が控えめであることから、増配の余地が残っており、いわば増配の「出遅れ銘柄」としてひそかに期待できる状況です。配当利回りは現状0.6〜1.1%と控えめですが、将来的には増配によるインカムゲインの向上も見込めます。
キャピタルゲインの可能性
海外市場や高付加価値製品の成長次第で、株価が上昇する可能性もあります。安定したフリーキャッシュフローがあることで、成長投資と株主還元を両立できる体制が整っていることも安心材料です。

ユニ・チャームは守りの安定株でありつつ、増配余地や株価上昇の可能性も狙える銘柄です。成熟企業でありながら、将来的に株主還元を増やせる余地がある点が、保有の大きな理由となっています。
ユニ・チャームの懸念点
国内市場依存による成長の鈍化
国内の人口減少や少子高齢化の影響で、ベビー用紙おむつや一部衛生用品の需要は横ばい傾向です。売上の大部分が国内市場に依存しているため、今後の成長には海外市場や高付加価値製品の貢献が不可欠です。
海外事業に伴う為替・競争リスク
東南アジアを中心に海外事業を拡大していますが、為替変動や現地の競合(P&G、ユニリーバなど)との競争は避けられないでしょう。
利益変動による配当増配への影響
原材料費や物流費の変動で年度ごとの利益が上下することがあります。長期的には配当は安定していますが、短期的には増配のペースが減速する可能性があります。
コメント