私は米国の個別株に投資をしていますが、その投資判断として営業キャッシュフローマージンとフリーキャッシュフローを見るようにしています。
この記事では、これらのキャッシュフローが株式への投資判断の一助となる理由と、企業のキャッシュフローの調べ方をお伝えしたいと思います。
キャッシュフローとは
キャッシュフローとは企業が企業活動によってお金を得たり、設備投資してお金を払ったりといったお金の流れを指します。
キャッシュフローは、「営業活動によるキャッシュフロー」、設備投資などの「投資活動によるキャッシュフロー」、資金調達などの「財務活動によるキャッシュフロー」の3つの項目に分けられます。
このうち、もっとも重要なのは本業でいくらのキャッシュを1年間で生み出せるかを表す営業キャッシュフローです。
営業キャッシュフローマージン
営業キャッシュフローマージンとは、企業の売上高に対して、どれくらいキャッシュを獲得できたかを表す値です。
営業キャッシュフロー・マージンは、高いほど儲けを出している会社と見る事ができ、営業キャッシュフローマージンは以下の式で計算できます。
営業キャッシュフローマージン (%) = 営業キャッシュフロー ÷ 売上高 × 100
営業キャッシュフロー・マージンのひとつの目安とされているのが15%です。
営業キャッシュフローマージンを15%以上獲得している企業は優良企業であるとされています。
フリーキャッシュフロー
フリーキャッシュフローとは、会社が経営する上で必要な設備投資の支出を差し引いて、最終的に会社の手元に残ったお金を指します。
フリーキャッシュフローは以下の式で計算します。
フリーキャッシュフロー = 営業キャッシュフロー - 投資キャッシュフロー
フリーキャッシュフローが多いという事は、企業が自由に使えるお金がたくさんあるという事です。
フリーキャッシュフローがプラスなら、本業の稼ぎでうまく経営されているといえますし、多ければ多いほど良いという事になります。
毎年フリーキャッシュフローがプラスで安定している企業は、利益を株主に還元する可能性が高いと言えるでしょう。
投資判断になぜキャッシュフローを見る?
キャッシュフローを見る理由の一つとして、キャッシュフローは事実に基づくデータだからです。
企業のお金の流れが記載されている「キャッシュフロー計算書」は、現金の入出金について金融機関に記録が残るため、ごまかしが効きにくい数字です。
一方、売上高や営業利益などは、「損益計算書」に書かれていますが、この数値はある程度企業によって操作する事が可能で、粉飾決算など改ざんしようと思えばできてしまう数字なのです。
キャッシュフローは、比較的信頼できるデータとして投資の指標として用いられています。
フリーキャッシュフローはどう調べる?
私は、フリーキャッシュフローは米国版「Yahoo!Finance」で調べています。
ここでは試しにコカ・コーラ(KO)の2020年度のキャッシュフローを見てみましょう。
まず、Yahoo!Financeへアクセスします。
HP上部にある①検索ボックスに「KO」と入力すると、候補となる銘柄の一覧が表示されるので②をクリックします。
コカ・コーラのページが表示されました。次に「Financials」をクリックします。
Income statement(損益計算書)が表示されます。この表の一番上の項目「Total Revenue(売上高)」の数値をメモします。
今回の場合は、2020年度の情報が欲しいので「33,014,000」をメモします。
コカ・コーラの2020年度売上高は「33,014,000」です。
次に、キャッシュフローを見ていきます。
①の「Cash Flow」をクリックすると、上のような表が表示されますので、②の「Operating Cash Flow(営業キャッシュフロー)」を確認します。
売上高と同様に、今回は2020年度の情報が欲しいので営業キャッシュフローは「9,844,000」とメモします。
③の「Free Cash Flow(フリーキャッシュフロー)」は、過去3年間のフリーキャッシュフローがプラスであることを確認します。2018~2020年のフリーキャッシュフローは全てプラスです。
コカ・コーラの2020年度の営業キャッシュフローは「80,674,000」、フリーキャッシュフローは過去3年間においてプラスです。
これで情報が出そろいました。
営業キャッシュフローマージンは、以下の式で計算できるので、
営業キャッシュフローマージン (%) = 営業キャッシュフロー ÷ 売上高 × 100
9,844,000 ÷ 33,014,000 × 100 = 29.8%
コカ・コーラの2020年度の営業キャッシュフローマージンは29.8%という数字が算出されました。
15%で優良企業と見なされるのに対して29.8%ですから、儲けを出す盤石な体制が確立されていると言えるでしょう。流石グローバル大企業。
一方、フリーキャッシュフローはというと、過去3年間でいうと全てプラスで推移しています。配当の原資は健全な企業活動から生み出されている事が確認できます。
仮にフリーキャッシュフローがマイナスだった場合でも、巨額の設備投資を行った等、ポジティブなものであれば良しとしています。
このように、キャッシュフローから企業がどれだけ効率的にキャッシュを獲得しているか、自由に使えるお金が潤沢にあるかを見る事ができます。
過去のデータを5年、10年と長いスパンで確認すれば、より確度が増しますよ。
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