AI時代に哲学が再び重要になる理由|解の質はAIが高め、問いの質は人が高める

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AIの進化によって、私たちはかつてないほど多くの「正しい答え」を、簡単に手に入れられるようになりました。情報収集、分析、要約、最適解の提示といった作業において、AIはすでに人間を上回る性能を示しています。

その一方で、別の問題が浮かび上がっています。それは、答えが溢れるほど増えたにもかかわらず、何を問うべきかが分からなくなっているという状況です。

この問いの空白に対して、世界のエリート教育が改めて重視しているのが哲学です。ハーバード、イェール、オックスフォードといった大学では、最先端の技術教育よりも前に、哲学をはじめとする一般教養を学ばせるというカリキュラムが今なお維持されています。

今回は、AI時代における哲学の立ち位置について考察したいと思います。

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世界のトップ大学はなぜ哲学を必修にしているのか

ハーバード大学の学部教育では、専攻を問わず一般教養科目の履修が求められています。その中心にあるのは、倫理、哲学、歴史といった分野です。イェール大学でも、人文科学を必修とする体系が維持されており、哲学は民主主義社会の基礎を支える学問として位置づけられています。

オックスフォード大学では、哲学は今も学問体系の中核です。PPEに象徴されるように、哲学は価値の基準を与え、他の学問を統合する役割を担っています。

これらの大学に共通しているのは、専門知識の前に、世界をどう切り取るかという思考の枠組みを身につけさせようとしている点です。その中心にあるのが哲学です。

AIは解を出すが、問いは出さない

AIは、与えられた目的関数の中で最適な解を導く存在です。大量のデータを処理し、過去の成功パターンを学習し、解の精度を高めることには非常に優れています。

しかし、AIはその目的自体が妥当かどうかを問い直すことはしません。別の問題設定があり得るのではないか、前提が間違っているのではないか、といった問いを自発的に立てることはできません。

この点で、AIは本質的に哲学的ではありません。

哲学とは、答えを出すための学問ではなく、問いを立て直すための学問です。当たり前とされている前提を疑い、問題設定そのものを再構築する。これは最適化の対象を与えられなければ機能しないAIとは、役割が根本的に異なります。

解の質が均質化する時代の競争優位

AIが広く普及すれば、解の質は急速に均質化していきます。同じデータとアルゴリズムを使えば、誰もが似たような答えにたどり着くからです。

そのときに差を生むのは、誰がどの問いを立てたかです。何を問題として定義し、どこに注目し、何を捨てたのかといった問いの部分にこそ、人間の判断が残ります。

哲学は、この「問う力」を鍛えるための体系化された学問です。だからこそ、AIが高度化するほど、哲学の実用価値は相対的に高まります。

哲学は教養ではなく、意思決定の技術である

日本では、哲学は教養科目、あるいは実務とは距離のある学問として扱われがちです。しかし、世界のエリート教育において、哲学は意思決定の基盤として位置づけられています。

不確実性の高い状況で、何を目標とし、どの価値を優先するのか。利害や前提が衝突する中で、どこに線を引くのか。こうした判断は、専門知識だけでは下せません。

AIが解の質を高める時代において、人間に残される役割は問いの質を高めることであり、そして、その力を体系的に鍛える学問が哲学だと考えています。

まとめ

AIの進化によって、解を出す能力は急速に機械へと移行しています。情報収集や分析、最適解の提示といった領域では、すでにAIが人間を上回る場面も珍しくありません。一方で、AIは自ら問いを立てることはできません。どの問題を重要とみなすのか、前提は妥当か、別の見方はないのかといった問いの設計は、人間に残された役割です。

世界のトップ大学が哲学を教育の中心に据え続けているのは、解の質が均質化する時代において、競争優位が問いの質に宿ることを理解しているからです。哲学は教養ではなく、不確実な状況で意思決定を行うための実務的な思考技術です。

解の質はAIが高め、問いの質は人が高めるという役割分担を自覚できるかどうかが、AI時代の思考力を分けるポイントになるのではないでしょうか。

このコンテンツは以上です。
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