DOEとは?配当株投資で注目される理由と累進配当との関係

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株価が大きく変動する局面でも、配当を安定した収入源として重視する投資家は少なくありません。特に長期投資では、配当額が継続的に受け取れるかどうかが、投資成果に大きな影響を与えます。
近年、日本企業の配当方針として注目を集めているのがDOEです。DOEは従来よく使われてきた配当性向とは異なる考え方に基づき、配当の安定性を測る指標とされています。
本記事では、DOEとは何かを整理したうえで、なぜ累進配当の広がりとともにDOEが重視されるようになったのかを解説します。

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配当利回りと配当性向の限界

配当株投資で最初に目にする指標は、配当利回りと配当性向です。どちらも分かりやすく、現在でも多くの記事やランキングで使われています。

配当利回りは、株価に対してどれだけの配当を受け取れるかを示します。ただし、株価が下落すれば利回りは自動的に上昇します。業績や財務に不安を抱える企業ほど、見かけ上の利回りが高くなることも珍しくありません。配当利回りの高さだけを根拠に投資判断を行うと、減配リスクを見落とす可能性があります。

配当性向は、当期純利益のうちどの程度を配当に回しているかを示す指標です。一見すると配当の持続性を測れそうですが、利益は景気や市況の影響を受けやすく、年によって大きく変動します。その結果、配当性向を一定に保っていても、配当額自体は安定しないケースがあります。

このように、配当利回りや配当性向だけでは、長期にわたって安定した配当が続くかどうかを十分に判断できません。そこで注目されているのが、配当を別の切り口から捉えるDOEという指標です。

DOEとは何か

DOEは、株主資本に対してどれだけの配当を支払っているかを示す指標です。正式には株主資本配当率と呼ばれます。計算式は、配当総額を株主資本で割ったものです。

DOE = 配当総額÷株主資本

配当性向との大きな違いは、分母に当期純利益ではなく株主資本を用いる点にあります。当期純利益は、景気や市況、一時的な要因によって大きく変動します。一方で、株主資本は急激に増減しにくく、比較的安定した数値です。

このため、DOEを配当方針の軸に据えると、配当額も安定しやすくなります。仮に一時的に利益が落ち込んだ場合でも、株主資本を基準とすることで、配当を急に減らさずに済む余地が生まれます。

むー
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DOEを掲げる企業は、株主資本に対する継続的なリターンと位置付けていると考えられます。その点で、DOEは配当の持続性を重視する投資家にとって、重要な視点となります。

DOEと累進配当の関係

近年、DOEとあわせて語られることが多い配当方針が累進配当です。累進配当とは、原則として毎年増配し、少なくとも減配は行わない方針を指します。

DOEを一定水準で維持する配当政策は、結果として累進配当と近い性質を持ちます。利益が計上されれば利益剰余金が積み上がり、株主資本が増加します。株主資本を基準に配当を決めるDOEでは、この増加に伴って配当額も徐々に増えやすくなります。

一方で、財務体質にまだ余裕がない企業が、いきなり累進配当を宣言するのは容易ではありません。そのため、まずDOEレンジを設定し、財務基盤を強化しながら安定配当を実現し、その後に累進配当へ移行するケースも見られます。

このように、DOEは累進配当を支える仕組みとして機能します。配当を長期的に成長させたい企業と、安定した配当を求める投資家の双方にとって、現実的な配当方針と言えます。

DOEから読み取れる企業姿勢

DOEを配当方針として掲げることは、経営に一定の制約を課すことを意味します。株主資本を基準に配当を決める以上、短期的な業績変動を理由に、簡単に配当を減らす判断が取りにくくなるためです。

これは、配当を一時的な成果配分ではなく、株主資本に対する継続的なリターンとして位置付けていることを示しています。言い換えれば、経営陣が中長期の視点で株主還元を設計しているかどうかが、DOEから読み取れます。

また、DOEを意識する経営では、利益の使い道に対する説明責任も強まります。内部留保を積み上げるだけでなく、株主資本が増えた分をどのように還元するのかを、投資家に示す必要があるからです。このように、DOEは企業がどのような姿勢で株主と向き合っているのかを確認するための判断材料として活用できます。

DOEを見る際の注意点

DOEは配当の安定性を測るうえで有効な指標ですが、万能ではありません。設定水準によっては、かえってリスクを高める場合があります。

DOEが高すぎる場合、利益が十分に出ていない局面では、自己資本を取り崩して配当を支払うことになります。この状態が続けば、財務体質の悪化につながります。DOEの数値だけでなく、企業の収益力や資本の厚みを併せて確認することが重要です。

また、DOEを掲げていても、例外条項が設けられているケースがあります。業績悪化時や大規模投資が必要な場合には、配当方針を見直すと明記されていることもあります。決算説明資料や配当方針の注記まで確認する姿勢が欠かせません。

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DOEは、財務状況とあわせて初めて意味を持つ指標です。表面的な数値だけで判断せず、持続可能性の観点から評価する必要があります。

まとめ

DOEは、配当の水準そのものよりも、配当の持続性を重視するための指標です。配当利回りや配当性向では見えにくい、企業の中長期的な株主還元姿勢を読み取ることができます。

累進配当が広がる中で、DOEはその土台となる考え方として位置付けられています。安定した株主資本を基準に配当を設計することで、企業は減配リスクを抑えつつ、配当を成長させやすくなります。

配当株投資では、目先の利回りに目を奪われがちですが、長期で保有するほど配当方針の違いが結果に表れます。DOEという視点を取り入れることで、より納得感のある銘柄選択が可能になります。

筆者の保有株をまとめた記事です。筆者連続増配株を中心に投資していますが、累進配当株にも投資しています。ぜひご参考としてください。

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