こんにちは、むーです。
私には昔から「哲学や思考実験」が好きという一面があります。
答えのない問いを考え続けることは一見まわり道のようですが、人生や働き方を見直す上で大きなヒントになると考えています。
最近注目されているFIREも、ただお金の話だけではなく、「自分はどう生きたいのか」という根本的な問いと深く関わっています。
今回は、古代ギリシャの哲学者ソクラテスの思想を手がかりに、FIREを哲学的に考えてみたいと思います。
ソクラテスとは?
ソクラテス(紀元前469年〜紀元前399年)は、古代ギリシャのアテネに生まれた哲学者です。彼自身は一冊の本も残していませんが、弟子であるプラトンなどの記録を通してその思想が伝えられています。
ソクラテスが大切にしたのは「問いかけること」です。彼は市場や街角で人々に「勇気とは何か」「正義とは何か」と問い続け、その答えをさらに掘り下げていきました。この手法は「ソクラテス式問答法」と呼ばれ、思考を揺さぶりながら、本質を浮き彫りにしていくものです。
また、彼の有名な言葉に「無知の知」があります。これは「自分が何も知らないことを自覚する」という姿勢であり、知識を増やす出発点でもあります。私たちが陥りがちな「分かったつもり」や「思い込み」を強く問いただしてくれる考え方です。
この姿勢こそが、ソクラテス哲学の核であり、現代の私たちが日々の生活や将来の選択を考えるうえでも欠かせないヒントになります。次に、その「自分に問い続けることの大切さ」について、もう少し深く掘り下げてみましょう。
自分に問い続けることの大切さ
ソクラテスの生き方の中心にあったのは、「自分に問い続ける」という姿勢でした。彼は人々に問いを投げかけ、相手の考えの矛盾を明らかにしようとしましたが、それは同時に「自分自身に向けた問い」でもあったのです。
この姿勢はFIREを考える私たちにも、そのまま響きます。
FIREは単なる経済的な目標設定ではなく、自分の人生をどう生きるかを問う営みだからです。
- 「私はなぜ自由を求めるのか?」
- 「自由な時間を得て、本当に何をしたいのか?」
- 「お金を得ることと、善く生きることは、私の中でどのように結びついているのか?」
こうした問いにすぐに正解は出ないと思います。私もはっきり答えを見いだせているわけではありません。
でも、問い続けることでしか自分の本当の価値観や欲望は姿を現しません。
ソクラテスが説いたように、「問うこと」そのものが、「より善く生きる」ために大切なのではないでしょうか。

FIREの本質は、お金の額よりも「自由を得て何をしたいか」にあるとは思いますが、それは自分に問い続けることでしか、その答えは見えてきません。
ソクラテス的視点でFIREをとらえる
ソクラテスの哲学を手がかりにすると、FIREは単なる退職や経済的独立ではなく、「善く生きるための準備」として理解できます。お金を貯める行為そのものは目的ではなく手段です。そしてFIREは、自由な時間と選択を手に入れ、人生を豊かにする手段と捉えています。
1. 無知の知
ソクラテスは「自分が何も知らないと知ることが知恵の始まり」と言いました。
FIREの過程でも同じです。将来やお金の不安は完全には消えませんし、私もお金の不安から結局いつまでも会社で働いている未来も垣間見えます。
でも、「知らないことがある」と自覚するだけで、焦りや過信に流されずにすみます。
例えば、FIREを目指して投資や貯蓄計画を立てるとき、「自分はもう十分理解している」と思い込むと、リスクを見落としたり、流行の情報に安易に飛びついたりしてしまいます。
しかし、「知らないことがある」ということを自覚していれば、慎重に調べたり、必要なら専門家に意見を聞いたりするようになります。結果として、より確実で自分に合った選択ができます。

まずは自分の理解できていない部分を認めることで、そこから本当に大事なことを選ぶ判断力が生まれるのではないでしょうか。
2. 徳(アレテー)の追求
ソクラテスにとって「徳(アレテー)」は、人としての善さや成熟を意味します。
FIREは単にお金をため込むことではなく、自由な時間をどう生き、どう成長するかを問う手段に変わります。
例えば、FIRE後の時間を趣味や学び、家族との時間に使うことは、自己の徳を育む行為にほかなりません。お金はそのための道具であり、目標ではないのです。
3. 問い続けること
ソクラテスは問いかけること自体を哲学の中心に据えました。FIREも同じで、「なぜ自分はFIREを目指すのか?」という問いを繰り返すことで、自分だけの答えが少しずつ形をとっていきます。
問い続ける過程では、社会の価値観や周囲の期待に振り回されず、自分にとっての「豊かさ」と「自由」を見極める力が養われます。
まとめ
ソクラテスの哲学は、FIREを「いくら貯めればいいか」という表面的なテーマから、「私はどう生きたいのか」という本質的な問いへと導いてくれます。(なんか某宮崎駿作品みたいですが笑)
ソクラテスのように無知を自覚し、善く生きる道を探し続け、自分に問いを投げかける。そうして初めて、FIREは「豊かに生きるための哲学」となる気がします。

もしソクラテスが今の時代にいたら、あなたの生き方にどんな問いを投げかけるでしょうか?
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